調査で分かったこと
調査対象は全国の4年制大学に在籍する1~3年生で、高校時代に総合型・学校推薦型選抜を検討または出願し、学校教員へ進学相談をした301人です。2026年8月1日から6日に、第三者調査会社の登録モニターを使ったインターネット調査として行われました。
『もっと早く知りたかった』は72.4%、『高校から十分な説明を受けられなかった』は58.5%、『早く知っていれば別の大学・学部も検討した』は64.8%でした。情報不足や準備開始の遅れで諦めた選択肢がある134人に理由を複数回答で尋ねると、英語資格が間に合わなかった54.5%、評定平均が条件に届かなかった49.3%、知った時点で締切が近い・過ぎていた35.8%が上位でした。
なぜ情報の時期が選択肢を変えるのか
総合型・学校推薦型選抜は、大学・学部・方式ごとに評定、英語資格、履修科目、専願・併願、提出書類、活動実績が異なります。英語資格や履修科目は短期間で用意できず、評定も高校3年生になってから過去へ戻って変えることはできません。制度を利用するか決めていない段階でも、条件を知ることには意味があります。
ただし、早期情報提供は『高校1年生から受験対策を始める』ことと同じではありません。入試に有利そうな活動を集めるだけになると、探究や課外活動が本人の関心ではなく実績づくりに変わります。必要なのは、選択肢を閉じないための基礎情報と、興味を育てる時間を両立させることです。
個人の教員では抱えきれない
大学・学部ごとに条件が違い、毎年度更新される情報を、担任一人が全て把握するのは現実的ではありません。一般選抜、推薦入試、奨学金、進学後の学びまで含めれば、情報量はさらに増えます。教員の知識や熱意の問題にすると、詳しい教員がいる学校だけが有利になる状態を固定してしまいます。
高校内で担当と相談経路を明確にし、大学側は募集要項の変更点、必要な準備時期、併願可否を比較しやすい形で出す必要があります。説明会を増やすだけでなく、後から検索・確認できる資料と更新履歴を整えることが重要です。
大学側の情報設計が問われる
大学の募集要項は正確であることが最優先ですが、正確でも探しにくければ選択肢として認識されません。学部サイト、入試サイト、PDF、FAQに情報が分散し、前年からの変更が見えないと、高校側の確認負担が増えます。
大学は、出願資格、評価方法、必要書類、準備開始の目安、例外、問い合わせ先を共通の順序で示すことができます。高校生向けの平易な説明と、最終判断に使う正式な募集要項を明確に分け、両者を相互リンクする設計が必要です。
反対面、限界、まだ分からないこと
この調査は無作為抽出された全大学生の代表調査ではありません。推薦入試に関心があり、教員へ相談した経験のある学生だけが対象で、回答者の大学種別、地域、入試方式ごとの詳細も公表ページだけでは十分に検証できません。専門塾を運営する企業による調査であることも、結果を読む際に明示すべきです。
また、『早く知りたかった』という回顧的回答から、早期説明が合格や満足度を高めると因果関係まで断定することはできません。今後は高校生を継続的に追う調査や、学校・地域・家庭状況による差の検証が必要です。
用語メモ
総合型選抜・学校推薦型選抜
書類、面接、小論文、学力検査などを組み合わせ、能力・意欲・適性を多面的に評価する選抜です。学校推薦型では学校長の推薦を要し、大学や方式によって公募制・指定校制、専願・併願などの条件が異なります。
編集部の確認ポイント
- 確定していること:対象を限定した301人調査で、72.4%が情報をもっと早く知りたかったと回答した。
- 一般化しないこと:全国の全高校生・大学生の72.4%を示す数字ではなく、因果関係も証明していない。
- 今後見ること:大学の情報が比較しやすくなり、高校1・2年生でも選択肢を閉じずに確認できるか。


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