2年で何が増えたのか

日本学生支援機構(JASSO)が2026年3月31日に公表した令和6年度学生生活調査によると、大学学部昼間部の学生生活費は、2022年度の182万4,700円から2024年度の201万9,100円へ増えました。内訳では、学費が1.3万円増えたのに対し、生活費は11万9,100円、24.3%増えています。

同じ期間の年間収入は196万7,400円から203万100円へ、6万2,700円、3.2%の増加にとどまりました。支出の伸びが収入の伸びを上回っています。平均では収入と支出が近い数字ですが、貯蓄の取り崩しや家庭ごとの差を打ち消した結果であり、個々の家計が均衡しているとは限りません。

家庭支援が減り、アルバイトの比重が上がった

収入に占める家庭からの支援は55.8%から50.7%へ低下しました。一方、奨学金は20.7%から21.6%、アルバイト収入は19.1%から25.0%へ上昇しています。

調査前1年間にアルバイトを経験した大学学部昼間部の学生は86.4%で、前回より2.6ポイント増えました。アルバイト従事者のうち、家庭からの支援だけでは修学がやや困難・非常に困難、または支援がないと答えた割合は35.1%です。アルバイトは経験や社会との接点にもなりますが、生活を維持するための長時間労働になれば、授業、予習、研究、休息へ影響します。

私立か国公立か、実家か下宿か

大学学部昼間部の年間学生生活費は、国立157万7,100円、公立146万3,400円、私立216万300円でした。私立は国立より約58万円、公立より約70万円高く、主に学費の差が表れています。

住まいによる差も大きく、自宅通学は平均180万1,300円、下宿・アパート等は234万2,900円で、約54万円の差でした。進学費用を考えるときは、授業料だけでなく、家賃、光熱費、食費、引っ越し、通学、通信を含めた4年間の見通しが必要です。

大学の内側でできること

困窮支援を奨学金の案内だけで終わらせないことが重要です。授業料減免、給付型支援、緊急支援、食支援、住居相談、学内雇用、履修相談、メンタルヘルスを、学生が一つの窓口からたどれるようにする必要があります。

学生がアルバイト時間を増やしてから成績が落ちる、欠席が増える、相談に来なくなるといった兆候は、部署をまたぐと見えにくくなります。個人情報を守りながら、教務、学生支援、奨学金、キャリア、相談室が支援を引き継ぐ設計が求められます。

この数字を読むときの注意

この調査は、大学・短期大学の学生から無作為抽出した8万2,593人を対象にオンラインで行い、有効回答は1万2,659人、回収率は15.3%でした。通信課程、休学者、外国人留学生は対象外です。集計値は回答を基に全国の対象学生数へ推計されています。

また、JASSOの『学生生活費』は、授業料などの学費と、食費・住居光熱費などの生活費を合わせた支出額です。一般に使う『生活費』より範囲が広いことに注意が必要です。

用語メモ

学生生活費

この調査では、授業料、学校納付金、修学費、課外活動費、通学費からなる学費と、食費、住居・光熱費、保健衛生費、娯楽・し好費、通信費などからなる生活費の合計を指します。

編集部の確認ポイント

  • 確定していること:大学学部昼間部の年間学生生活費は201万9,100円で、前回より10.7%増えた。
  • 差を見ること:設置者、居住形態、家庭状況によって負担は大きく異なる。
  • 注意すること:回収率15.3%の標本調査による推計で、対象外となる学生もいる。